月次報告

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平成30年2月度 参議院ODA調査団 委員会報告

昨年、参議院ODA調査派遣団としてキューバ共和国、ジャマイカ両国へ初めての訪問をしました。現地では案件の視察や政府関係者との意見交換のほか、JICA専門家やボランティア、日本企業関係者と等と意見交換を行いました。2月度の月次報告は、参議院に設置されている「政府開発援助(ODA)等に関する特別委員会」で行った調査団報告の概要をお知らせいたします。

キューバ共和国

キューバは、カリブ海地域最大の国土と人口を有する社会主義国家。天然資源、人的資源を有し、今後経済成長を遂げる潜在性があり、また、医療関係者等の派遣を通じて中南米やアフリカの開発途上国に影響力を持つなど、高い外交力を発揮している一方で、米国の経済封鎖等による物資、資金不足によりインフラの老朽化や食糧自給率の低さなど多くの課題を抱える。

キューバに対するODAは、ソ連崩壊後の経済危機に見舞われて以来、専門家派遣や研修員の受入れ、技術協力等で実施されてきた。2015年岸田外務大臣、2016年の安倍総理の訪問を受けて本格的な無償資金協力が開始される。

ODA調査団報告
キューバ共和国視察
① JICA事務所の早期開設の必要性

両国間の調整は最終局面であるものの、正式設置には至っていない。効果的な支援を実施していくために早期開設・体制整備は重要であり、政府関係者との意見交換時にその旨要請しました。

(本年1月4日に事務所開設手続きが終了)

② 重点分野・農業開発

キューバ国民の主食である「米」の増産については、技術協力、専門家派遣、研修員受入れ等の実施や無償資金協力による農業機材供与等により年々増加しており、視察した穀物研究所や農業省副大臣との意見交換において、技術協力、研修員受入れに高い評価を受けました。

キューバの「米」の自給率目標は70~80%であり、継続的な協力が必要と感じました。

③ 持続可能な社会・経済開発分野

物資や資金不足に直面しているキューバにおいて、現在あるものを修理しながら長く使用していくための技術・ノウハウの支援として視察した国立医療機器センター、ゴミ収集車両管理センターでは、キューバ側のニーズにかなった支援が行われていると感じました。

医療分野では医療機器等の製造企業が直接保守管理を行うことで民間の進出を図り、環境分野では日本のような分別収集の徹底による廃棄物処理システムの構築が必要であると思います。

④ 有償資金協力による支援の可能性

現在、2016年からの本格的な無償資金協力の実施等により、我が国のODA は、他の二国間や国際機関の援助額と比較しても大きな規模となっています。国際協力等を担当する外国貿易・外国投資省次官との意見交換では、物資や資金不足に直面するキューバでは施設の老朽化等による国民生活への懸念があり、エネルギー、運輸交通等の分野での有償資金協力について言及がありました。実施にはプロジェクトの内容とともに債務負担能力を把握するための財務データが必要であり、現状では厳しいかなと思います。


ジャマイカ

ジャマイカは、カリブ地域の中心国で、カリブ共同体においては外交面で主導的役割を果たしている。中所得国として順調に成長してきているが、世界経済や自然災害等の外的要因の影響を受けやすい。また高い失業率や貧富の差、更には治安等の社会問題への対策が重要な課題である。

ODA調査団報告
カリブ海事大学視察
① 草の根・人間の安全保障無償資金協力

消防車等の緊急車両を供与したカリブ海事大学では、訓練施設、緊急救命対応改善のための地域住民に対するボランティア意識の向上、消防訓練が実施され効果を上げています。

② 文化無償資金協力

ジャマイカを代表する文化施設・ジャマイカ研究所に供与された展示・視聴覚機材は、博物館、児童館、レクチャーホール、バスによる全土の移動展示等を行う際に活用されています。

③ 有償資金協力による上水道整備計画

地下水による水源開発やスパニッシュタウン浄水場を含む浄水・送排水施設の修復、拡張が確実に行われており地区周辺約8万人に安定した水の供給が行われていますが、維持・管理のためのフォローアップが必要と考えます。

④ ボランティア活動

青年海外協力隊員、シニアボランティアの皆様が教育・スポーツ・土木・防災・水産等様々な分野で活動し成果を上げている現状は、視察先や政府関係者から高い評価をいただきました。

⑤ 今後の支援

政府関係者との意見交換において、協力関係の拡大の意向が示され、特に気候変動、防災分野はカリブ諸国への重点分野と合致します。

被害軽減の分野では二国間のみならず島国であるカリブ諸国への協力・支援の期待感も示されました。我が国の経験・知見を生かした効果的な支援が可能な分野だと思います。また2017年には無償資金協力による防災デジタル無線通信システム整備、約20年ぶりとなる有償資金協力による公共施設の省エネルギー化改修工事の支援も決定しており、ハリケーンや地震、津波などの自然災害に対する脆弱性を持つカリブ諸国に対するモデル的支援になると考えます。

ボランティアや専門家の派遣は効果的な支援であり、治安悪化の面では社会経済安定のため、教育、雇用拡大、人材育成等の協力が必要と考えます。