自由民主党・参議院議員 豊田俊郎 自由民主党・参議院議員 豊田俊郎

月次報告

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平成30年1月度 平成30年度 税制改正大綱の概要

6年前、日本には未来への悲観論ばかり溢れていました。安倍内閣はこの5年間、デフレ脱却と経済再生を最重要課題として取り組んできました。雇用は200万人近く増加し、正社員の有効求人倍率は調査を開始以来初めて1倍を超え、賃金も2%程度の賃上げが4年連続で実現するなど、雇用・所得環境は大きく改善しています。この成長軌道を確かなものとするために、最大の課題であり国難とも呼ぶべき危機・少子高齢化の克服に向けて、『生産性革命』『人づくり革命』を断行することとしています。

生産性を大きく押し上げることで、4年連続の賃上げの勢いをさらに力強いものとし、デフレからの脱却を確実なものとしていく必要があります。また、人生100年時代を見据え、我が国の経済社会システムの大改革に挑戦することにより、誰もが生きがいを感じられる「一億総活躍社会」を作り上げる必要があります。

このため、税制面においては、個人所得課税、資産課税、法人課税、消費課税、納税環境整備や森林関連法令の見直し等を行います。 以下に概要をお知らせいたします。


個人所得課税

働き方の多様化を踏まえ、様々な形で働く人を応援する観点から個人所得税の見直しを行う。

給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
  • 給与所得控除及び公的年金等控除の控除額を一律10万円引き下げ、基礎控除の控除額を一律10万円引き上げる。
給与所得控除・公的年金等控除・基礎控除の見直し
  • 給与所得控除について、給与収入が850万円を超える場合の控除額を195万円に引き下げる。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講ずる。
  • 公的年金等控除について、公的年金等収入が1,000万円を超える場合の控除額に195.5万円の上限を設ける。公的年金等以外の所得金額が1,000万円超の場合は、控除額を引き下げる。
  • 基礎控除について、合計所得金額2,400万円超で控除額が逓減を開始し、2,500万円超で消失する仕組みとする。

資産課税

生産性向上のための設備投資と持続的な賃上げを強力に後押しする観点から、税制上の措置及び地域の中小企業の設備投資を促進するための措置を講ずる。また、中小企業の代替わりを促進するため、事業承継税制を10年間の特例措置として抜本的に拡充する。

事業承継税制の拡充
  • 10年間の特例として、猶予対象の株式の制限(総株式数の2/3)の撤廃、納税猶予割合の引き上げ(80%から100%)、雇用確保要件の弾力化を行うとともに、複数(最大3名)の後継者に対する贈与・相続に対象を拡大し、経営環境の変化に対応した減免制度を創設する等の措置を講ずる。
一般社団法人等に関する相続税・贈与税の見直し
  • 同族関係者が理事の過半を占めている一般社団法人について、その同族理事の1人が死亡した場合、当該法人の財産を対象に、当該法人に相続税を課税する。
土地に係る固定資産税等の負担調整措置の継続
  • 宅地等及び農地の負担調整措置について、平成30年度から平成32年度までの間、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。
中小企業の設備投資を促進するための税制上の特例措置を創設
  • 革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)の制定を前提に、市町村が主体的に作成した計画に基づき平成33年3月31日までに行われた中小企業の一定の設備投資について、固定資産税の課税標準を最初の3年間ゼロ以上2分の1以下とする特例措置を創設する。

法人課税

賃上げ・生産性向上のための税制に改組
  • 所得拡大促進税制を改組し、①平均給与等支給額が対前年度比3%以上増加、②国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上等の要件を満たす場合に、給与等支給増加額について税額控除ができる制度とする。
    (注)中小企業については、平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上増加等の要件を満たす場合に給与等支給増加額について税額控除ができる制度に改組。
  • 情報連携投資等の促進に係る税制を創設し、革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づく設備投資に対して特別償却又は税額控除を可能とする。
  • 租税特別措置の適用要件の見直しを行い、大企業について、所得が前期の所得以下の一定の事業年度を除き、①平均給与等支給額が前年度を超えること、②国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えること、の要件のいずれにも該当しない場合には、研究開発税制その他の一定の税額控除を適用できないこととする。
事業再編の環境整備
  • 産業競争力強化法の改正を前提に、特別事業再編計画(仮称)の認定を受けた事業者が行った特別事業再編(自己株式を対価とした公開買付けなどの任意の株式の取得)による株式の交換について、その交換に応じた株主に対する譲渡損益に係る課税を繰り延べる。
地方拠点強化税制の見直し
  • 地域再生法の改正を前提に、準地方活力向上地域とされた近畿圏中心部や中部圏中心部を、移転型事業の対象地域とする等の見直しを行う。

消費課税

観光促進のための税として国際観光旅客税の創設等を行う。また厳しい財政事情に鑑み、財政物資としてのたばこの税率を引き上げる。地域社会を支える地方税財政基盤の構築の観点から地方消費税の精算基準の抜本的な見直し等を行う。

国際観光旅客税(仮称)の創設
  • 平成31年1月7日以後の出国旅客に定額・一律(1,000円)の負担を求める国際観光旅客税(仮称)を創設する。
外国人旅行者向け消費税免税制度の利便性向上
  • 一定の条件の下、「一般物品」と「消耗品」の合計金額が5,000円以上となる場合も免税販売の対象とする。
    (注)現行、「一般物品」と「消耗品」それぞれで下限額を満たす必要。
  • 現行の紙による免税販売手続(購入記録票のパスポートへの貼付・割印)を廃止し、免税販売手続きを電子化する。
たばこ税の見直し
  • 国及び地方のたばこ税の税率を1本あたり3円引上げ。平成30年10月1日より1本あたり1円ずつ3段階に分けて実施する。
  • 加熱式たばこの課税区分を新設した上で、その製品特性を踏まえた課税方式に見直す。
地方消費背の精算基準の抜本的な見直し
  • 小売年間販売額及びサービス業対個人事業収入額の算定に用いる統計データのうち、統計の計上地と最終消費地が乖離しているもの、非課税取引に該当するものを除外する。これに伴い、統計カバー率を現行の75%から59%に変更し、統計カバー外(50%)の代替指標を人口とする
金の密輸入に対応するための罰則の引上げ
  • 輸入に係る消費税等の脱税犯に係る罰金額の上限について、脱税額の10倍が、1,000万円超の場合、脱税額の10倍に引き上げる。

国際課税

恒久的施設関連規定の見直し
  • 日本に進出する外国企業等の事業利益に対する課税の有無を決める「恒久的施設」の範囲について、租税回避を防止するため見直す。

納税環境整備等

ICT(情報通信技術)の税務分野での積極的な活用のため、税務手続きの電子化を促進し、電子申告・納税等の拡充を進める。

税務手続きの電子化等の推進
  • 法人税等に係る申告データを円滑に電子提出できるよう環境整備を進めるとともに、大法人については法人税等の電子申告を義務化する。
  • 生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅ローン減税に係る年末調整関係書類について、電磁的方法による提出を可能とする。
  • 複数の地方公共団体への納税が一度の手続きで可能となるよう、安全かつ安定的な運営を担保する措置を講じつつ、電子情報処理組織(eLTAX)を活用した共通電子納税システムを導入する。

関税

暫定税率の適用期限の延長等
  • 平成29年度末に適用期限の到来する暫定税率(392品目)の適用期限を1年延長する等の措置を講ずる。
金の密輸入に対応するための罰則の引上げ
  • 無許可輸入罪等について、罰金額を500万円以下から1,000万円以下(貨物の価格の5倍が1,000万円超の場合、価格の5倍まで)にする等の引上げを行う。

備考

温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るための地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税(仮称)、森林環境譲与税(仮称)を創設する。

森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)の創設
  • 次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ、平成31年度税制改正において、森林環境税(仮称)(平成36年度から年額1,000円を課税)及び森林環境譲与税(仮称)(平成31年度から譲与)を創設する。