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平成29年4月 安全保障における当面の課題


安全保障といえば、一般的にはどうしても防衛に係る問題がクローズアップされます。 しかし、私たちの何気ない日常生活の中にあっても、間接的に影響を受けることがあります。 そのことを認識した上で、身近に影響を及ぼす点を少しご紹介します。

1. 外資による日本の土地、森林、水源地の取得(買収)

近年、外国人や外国資本による日本の不動産購入が増えており、所有者たる外国人との交渉が困難なため、再開発等に支障をきたすケースが生じています。このような土地取得は、我が国の防衛に不可欠な国有財産である自衛隊施設周辺、国民に憩いと安らぎを与える観光地やリゾート地、国土保全や食糧生産の基盤となる森林や水源地、さらには原発周辺や国境離島のように取引が安全保障の支障となるおそれのある土地にまで広がっています。

土地利用等の在り方に関する法制の整備について国家安全保障上の観点から見たとき、危機管理として何か問題があるのか。WTO協定や投資協定のような条約、外国人土地法などの国内法は機能しているのか。事前届出の義務化が必要ではないのか。などの課題が見えてきます。

土地情報というのは、不動産登記簿は法務省であるし、国土利用計画法に基づく土地売買の届出は国土交通省、固定資産税の台帳は総務省など、目的別に整理管理されていますが、国として土地の所有や利用情報が一元的に管理されていないというシステム上の問題もあります。更には土地利用に関する届出そのもの、あるいは土地情報の変更手続きにもコストと手間が多くかかるという問題もあります。

外国人や外国資本による土地取得規制を行うにも、このような制度が障害になる可能性があるので、課題を横断的に処理できるような制度作りや機関の設置が求められます。

政府として、このような観点から土地の権利・利用関係の実態調査を行う制度を速やかに作り、その上で利用や取引の規制を検討すべきと考えます。

2. 海洋における当面の課題 〜世界6位の排他的経済水域(EEZ)〜

海洋権益ということを考えた場合、周辺海域の大きさは一般的に領海面積と言うより排他的経済水域(EEZ)を指します。ここは、優先的に資源利用・開発を行うことが出来るかわりに資源の管理についても責任を持たねばならない国際的に認められた領域となります。日本は人口規模で世界11位、国土面積では61位ですが、海洋国日本の排他的経済水域は世界6位で447万平方キロメートルもある海洋国家です(出典:総務省「世界の統計2016」)。

日本の排他的経済水域

2012年には、国連海洋法条約に基づき設置された大陸棚限界委員会で、沖ノ鳥島を基点とする日本の大陸棚延長が認められ、海洋権益の拡充がなされました。

日本近海は、世界3大漁場のひとつで漁業国日本の基礎をなしています。また海底資源の点でもメタンハイドレードやレアメタル(希少金属)などの採掘権が主張でき、多くの可能性を秘めています。しかし東シナ海の大陸棚におけるガス田開発では、日中の中間線を巡り係争がおきています。いずれにしても日露間、日中間、日韓間のそれぞれ北方四島、尖閣諸島、竹島を巡る問題も海洋権益が絡み簡単な解決は厳しいのが現状です。

我が国のEEZ内における不法な活動を規制するための国内法整備を行うなど、政府・与党において、我が国の海洋権益をしっかりと守るための取組を進めていく必要があります。本年度からは、海上保安庁の無人船による干潮時の海岸線(低潮線)を詳細に把握するための調査が行われます。

3. 『最大の福祉・平和で安全な生活』を脅かす北朝鮮問題

金日成主席(1994年没)、金正日総書記(2011年没)、金正恩朝鮮労働党委員長と続く北朝鮮は、核開発疑惑の発覚から20年以上が経過した現在、核やミサイル開発を巧みに継続させ、着実にその技術を発展させてきています。

弾道ミサイル 〜繰り返される脅威〜

1998年に中距離弾道ミサイル「テポドン1号」が日本列島(東北地方)を飛び越え太平洋上に落下した事件を含め、北朝鮮は今日までに弾道ミサイル発射を繰り返し、2016年には20発を超える発射を実施するなど、その脅威は近年非常に高まっています。その中には再び日本列島を飛び越える「テポドン2号」の改良型と見られる弾道ミサイルや潜水艦発射弾道ミサイルなど多くの短~長距離弾道ミサイルがあり、その性能や発射技術は進歩を続けています。

防衛対応としては、①BMD(弾道ミサイル防衛)システムの整備 ②「パトリオットPAC-3」の部隊配備完了(2010年) ③「FPS-5」レーダー装置配備完了(2011年)と進めており、米韓両国とともに衛星やイージス艦による警戒監視、破壊措置命令の発令等、措置を講じています。国民に対しては、国民への通知である全国瞬時警報システム=Jアラートによる『国民保護サイレン』を吹鳴し通知することとしています。また、内閣官房の「国民保護ポータルサイト」にはJアラートによる情報伝達の流れなどが掲載されています。

核開発 〜受け入れられない核実験〜

自国の利益のみを追求し続ける北朝鮮。この北朝鮮の核開発による脅威が急激に高まっています。金正恩体制下における「並進路線」は経済とともに核開発を推進させるもので、核兵器の製造が可能なプルトニウムを相当量保有していると考えられます。またプルトニウム型に比べて兵器化が容易であり、施設を隠匿しやすいウラン型の核開発も進んでいると考えられています。このことが衛星等での追跡・監視による関連施設の規模や場所特定、更には地下配置の状況把握を不透明にしている一因となっています。更には核弾頭を弾道ミサイルに搭載すべく小型化を図っているともされ、脅威はますます増大しています。

対話による解決を目指す関係各国による「6カ国協議」は中断されており、再開の目途はたちません。国連を中心とする国際社会の核開発を放棄させる動きも進まない中、北朝鮮は巧みに核開発を継続させ着実に技術を発展させています。

北朝鮮にとっての核兵器の保有は、体制維持・運営にとって極めて重要な要素であり、考え方の変更を求めるのは大変厳しいと思われます。20年を超える核開発の現状からみて、周辺各国や国際社会においては、さらなる対北朝鮮対策での協同歩調が求められています。

6度目の核実験は確実に世界中でアウトです。止めさせなければなりません。

4. その他

上記のほかにも非軍事的な安全保障として「拉致問題」「人間の安全保障」「経済分野」「エネルギー・資源分野」「思想・文化・教育分野」「交通分野」「農林分野」などでも論議がなされています。とりわけ『拉致問題』は国民の関心も強く、一日も早い帰国を望む多くの声があるのは皆さまご承知の通りです。この問題は、担当大臣政務官でもあり別の企画で取り上げたいと思います。